デザイン先進企業の若手デザイナーが語る、社会を豊かに成長させるデザインの役割kenchiro168 / Shutterstock

テレビやパソコンのように、一見「あたりまえ」に身の回りに存在する製品のデザインに、デザイナーはどう関わっているのか――。5月12日、公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会(以下、JIDA)が、デザイナー向けプラットフォームを運営するビビビットとのコラボレーションでオンラインセミナー「新たな“あたりまえ”をつくるデザインのヒミツ」を開催。製造企業のデザインの現場で活躍する5人の若手デザイナーを講師に招き、デザインを志す学生ら約300人が参加した。(フリーライター 小林直美、ダイヤモンド社 音なぎ省一郎)

“共創”から価値を生み出す、産業デザインの今

 JIDAは1952(昭和27)年に設立された日本で最も歴史あるデザイン協会であり、インダストリアルデザインでは唯一の全国組織だ。プロダクトデザインの資格制度「PD検定」を運営するほか、文化的に価値ある工業製品を選定・保存・展示するミュージアム事業、来年に東京で開催予定の「世界デザイン会議2023」の準備にも携わる。

 創立70周年を迎える2022年10月に向けて、現在、デザインの可能性をさまざまな角度から問い直すセミナーやトークイベントなどの記念事業を展開しており、本セミナーもその一環だ。進行役を務めたJIDA理事の小幡真也氏は、セミナーのテーマとして掲げた「心豊かな未来への共創」に込めた開催意図をこう話す。

「70周年を目前にした昨年、JIDAは新ビジョン“Designing beyond Design――デザイン その先のデザインへ”を策定しました。『デザイン経営』や『デザイン思考』のバズワード化が象徴するように、今、デザインの領域は大きく広がりつつあります。インダストリアルデザインの領域、モノだけでなくサービスや体験も含むものになっており、デザインが単独では成り立たなくなっています。今回のセミナーでは、産業分野の最新のデザイン事例を共有しながら、身近なデザインの裏側で、デザイナーがどのように活躍し、どんな共創が行われているのかを掘り下げ、インダストリアルデザインの楽しさと、未来の可能性を考えたいと思います」 

 続くプレゼンテーションでは、バッファロー、レノボ・ジャパン、パナソニック、三菱電機、バルミューダの各社から若手デザイナー5人が登壇し、デザインの現場のリアルを発信した。以下にそのエッセンスを紹介しよう。