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マーケティング研究者の久保田進彦氏は、現代人の消費活動を読み解く鍵は「リキッド消費」にあると説く。リキッド消費とは、その時々で欲しいものが変わる、買わずともレンタルやシェアリングでOK、モノよりも経験を大切にする、この3要素を満たす消費生活を指す。リキッド消費傾向が強い人々の生活から、その思考に迫る。※本稿は、久保田進彦『リキッド消費とは何か』(新潮新書、新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

リキッド消費傾向が強い若者は
全員同じような消費行動をとる?

 ここでは、3つの異なる調査で得られたデータをもとに分析をしていきます。いずれの分析も、事前のアンケート調査マーケティング調査の専門家の観察によってリキッド消費傾向が強いと判断された若者たちのデータをもとにしています。

 まず明らかになったのは、ひとくちに「リキッド消費傾向が強い若者」といっても、そのなかにいろいろなタイプが存在することです。アンケート調査や専門家の観察によってリキッド消費傾向が強いと判断された若者たちです。ところが彼・彼女らの消費生活を注意深く調べてみると、消費の流動化傾向が極めて高い人もいれば、ある程度に留まる人もいました。また生活のあらゆる場面で、消費の流動化が見られる人もいれば、限られた場面でだけ見られる人もいました。

 つまりリキッド消費傾向が強い若者たちであっても、その程度や態様はさまざまでした。

 たとえばある大学生の女性は、つぎつぎと新しいものが欲しくなり(短命性)、バッグや香水はバラエティを楽しみたいので、購買よりサブスクリプション・サービスに魅力を感じていました(アクセス・ベース)。