国債を償還まで持ち続けても
日銀は損失を免れない
円安に歯止めがかからない。6月22日には一時136円台後半まで進んだ。
欧米の主要中央銀行が利上げを加速するなかで、日本銀行はいまの円安・物価上昇に対して、「緩和維持」を続けているのはなぜなのか。
緩和維持を決めた17日の政策決定会合後の記者会見で、黒田東彦総裁は「コロナ禍からの回復がまだ途上の経済を下押しするリスクがある」と述べた。
だが、景気などへの配慮よりも日銀自身の事情があることは、前回の本コラム「円安135円まで急加速、円安・物価上昇でも日銀が利上げしない『国民軽視』の理由」(2022年6月16日付)で指摘した。
金利が上昇すれば、日銀保有国債の評価額が減少する。この評価損は国債を満期まで保有すれば現実化しないが、国債を償還時まで持ち続けても金利が上昇すれば、日銀の損失が増加し債務超過に陥る。