ダイヤモンド決算報#化学Photo:PIXTA

コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、旭化成などの「化学」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

信越化学工業が
前年同期比4割超の大幅増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界4社。対象期間は22年1~3月期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・信越化学工業
 増収率:45.3%(四半期の売上高5907億円)
・旭化成
 増収率:11.8%(四半期の売上高6366億円)
・三菱ケミカルホールディングス
 増収率:19.4%(四半期の売上収益1兆767億円)
・東レ
 増収率:12.0%(四半期の売上収益5817億円)

※信越化学工業、旭化成は収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。

 化学業界4社は全て前年同期比で2ケタ増収となった。中でも信越化学工業は3四半期連続で、前年同期比4割超の増収を記録し、通期で過去最高を更新している。この要因は何なのか。

 次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、信越化学工業の増収要因について詳しく解説する。