コロナ禍が3年目に突入し、多くの業界や企業のビジネスをいまだに揺さぶり続けている。その対応力の差によって企業の業績は、勝ち組と負け組の格差が拡大している。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、旭化成などの「化学」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
信越化学工業が
前年同期比4割超の大幅増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界4社。対象期間は21年10~12月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・信越化学工業
増収率:42.8%(四半期の売上高5424億円)
・旭化成
増収率:17.6%(四半期の売上高6437億円)
・三菱ケミカルホールディングス
増収率:19.3%(四半期の売上収益1兆152億円)
・東レ
増収率:14.9%(四半期の売上収益5839億円)
※信越化学工業、旭化成は収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
化学業界4社は全て前年同期比で2ケタ増収となった。中でも信越化学工業は前年同期比で4割超の増収と、特に高い増収率を記録している。この要因は何だったのか。
次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、信越化学工業の増収要因について詳しく解説する。