「お宝銘柄」発掘術!

「半導体材料」関連株は、政府が支援する“国策銘柄“!「信越化学工業」「東京応化工業」「トリケミカル研究所」など、「半導体材料」の世界トップシェア企業を解説!

2021年11月18日公開(2022年3月29日更新)
村瀬 智一
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 経済産業省は11月15日、有識者会合「半導体・デジタル産業戦略検討会議」の第4回を開催しました。会合では、スマホ用メモリーや画像センサーなどのシェアは引き続き維持しつつ、電気自動車や自動運転、IoT(スマートシティなど)といった成長市場において、半導体のシェアを維持・増大することを目標として設定。日本企業による半導体の売上高を、2020年時点の4兆5000億円から2030年に13兆円まで増やす目標を示しました

 以前のコラムでも紹介しましたが、デジタル産業戦略検討会議で配布された資料「半導体戦略の進捗と今後」によると、日本の半導体シェアは1988年の50.3%をピークに2019年には10.0%にまで下落しています。また、5Gや自動運転などデジタル革命の発展によって世界の半導体の市場規模は成長を続け、2030年には100兆円と2020年比で倍増すると予想されています。
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 そうした状況を踏まえ、経済産業省は日本の半導体産業の復活を目指して「他国に匹敵する支援とそれを支える法的な枠組みを構築し、複数年度にわたる継続的な支援を行う」との方針を明らかにしています。現在、スマホや5Gインフラに使われるロジック(制御用)半導体やメモリー(データ記憶用)半導体の分野では、米国や韓国、台湾が市場を席巻しています。今後は、エッジコンピューティング・アプリケーション・デバイス(自動運転、FAなど)が新たな半導体需要の成長分野と見込まれており、経済産業省はその分野こそが日本が参入するラストチャンスと見ているようです。

今後は日本政府が支援するプロジェクトが増加し、
それに伴って「半導体」関連銘柄に注目が集まる!

 こうした状況のなか、ソニーグループ(6758)の100%子会社であるソニーセミコンダクタソリューションズは11月9日、半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に設立する子会社Japan Advanced Semiconductor Manufacturing (JASM)に、少数株主として参画すると発表しました。2022年に着工、2024年末までの生産開始を目指しており、約1500人の新規雇用を見込んでいるようです。このプロジェクトに必要な設備投資額は約70億ドル(約8000億円)で、日本政府から強力な支援を受ける前提で検討しているとのことです

 半導体業界では、今後、このような日本政府が支援する案件が増えてくることが予想されます。そして、それに伴って、株式市場で「半導体」関連銘柄が注目される機会も増えてくるでしょう。

 「半導体」関連銘柄としては、東京エレクトロン(8035)レーザーテック(6920)アドバンテスト(6857)SCREENホールディングス(7735)ディスコ(6146)など、「半導体製造設備」を手掛ける銘柄の名前がよく挙げられます。ただ、この辺りの銘柄はすでに注目度が高く、東京エレクトロンレーザーテックなど、足元で上場来高値を更新している銘柄も散見されているため、やや手掛けづらさが感じられます。
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 そこで今回は「半導体材料」を手掛けている企業に注目。具体的には「半導体材料」の分野で世界的に高いシェアを持つ銘柄を選定しました。

【信越化学工業(4063)】
「シリコンウエハー」で世界トップシェア

 信越化学工業(4063)は、半導体の基板となる素材の「シリコンウエハー」で世界トップシェアを誇ります。また、半導体パッケージを構成する材料のひとつである「半導体封止材」や、5Gやミリ波レーダー、大容量高速基盤の実現に不可欠な「低誘電材料」なども手掛けています。株価は10月5日につけた直近安値1万7655円を底値に、上昇トレンドが継続しています。

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信越化学工業(4063)チャート/日足・6カ月信越化学工業(4063)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【東京応化工業(4186)】
「半導体製造用フォトレジスト」のシェアでは世界トップクラス

 東京応化工業(4186)は、「半導体製造用フォトレジスト」において世界トップクラスのシェアを有しています。フォトレジストとともに半導体の製造に欠かせない、洗浄液やシンナー、現像液などの高純度化学薬品についても需要が拡大しており、さらに、次世代材料(EUV用)などの開発も積極的に進めています。株価は、10月5日につけた直近安値6150円を底値に、リバウンドの動きを見せています。

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東京応化工業(4186)チャート/日足・6カ月東京応化工業(4186)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【トリケミカル研究所(4369)】
「高純度化学薬品」でグローバルニッチトップ企業を目指す

 トリケミカル研究所(4369)は、半導体などの製造工程で使用される「高純度化学薬品」を手掛けています。なお、扱っている化学薬品の8割近くは、半導体製造に関わるものになります。大量の需要がある製品では大手化学メーカーとの競合を避ける一方、ニーズがあれば少量・高難度でも対応し、ニッチ分野での世界トップ企業、いわゆる「グローバルニッチトップ企業」を目指しています。株価は、10月5日の安値2972円で底入れした後、リバウンドが継続しています。

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【東洋合成工業(4970)】
「半導体向け感光材」で世界トップシェア

 東洋合成工業(4970)は、品質が安定した高純度な感光性材料を少量多品種で製造できる生産技術を強みとしており、「半導体向け感光材」で世界トップシェアを誇ります。産業用途向け半導体の需要拡大に伴い、感光性製品全般で強い需要が継続していることが追い風となっています。株価は11月5日に一時1万9210円まで上昇した後、いったん調整しましたが、直近で再び強いリバウンドを見せています。

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東洋合成工業(4970)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【JSR(4185)】
「フォトレジスト」「トップコート材料」などのトップ企業

 JSR(4185)は、「フォトレジスト」や「トップコート材料」「低温硬化絶縁膜」といった半導体材料で世界ナンバー1のシェアを有しています。また、9月17日には、EUV(極端紫外線)リソグラフィ用レジストを開発・製造する米国のインプリアを完全子会社化すると発表しました。株価は、9月17日につけた直近高値4425円をピークに調整を見せていましたが、75日移動平均線を下値支持線としたリバウンドにより、再び高値に接近しています。

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 以上、今回は「半導体材料」関連銘柄を発掘しました。

 「半導体」関連のテーマとしては、今回取り上げた「半導体材料」や前述した「半導体製造装置」のほかに、センサーやデバイスを製造する「電子部品メーカー」なども市場の関心を集めやすいと思われます。

 ただし、銘柄を選ぶ際は、高値更新を続ける東京エレクトロンレーザーテックのように値動きが良好な一部の銘柄に集中するのではなく、「半導体」関連のなかでも出遅れている銘柄や相対的に割安感のある銘柄を探ることを意識するといいでしょう。
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