ジョー・バイデン米大統領は、北大西洋条約機構(NATO)のような同盟の枠組みを再活性化するとの公約を掲げ、大統領選の選挙戦を展開した。今週マドリードで開催されるNATO首脳会議は、バイデン氏に米国の同盟国を結集させる手腕があるかどうかの真の試金石となるだろう。最も差し迫った問題はウクライナの防衛だ。バイデン大統領が遅ればせながらも、ウクライナ政府に多額の軍事支援を供与したことは称賛に値する。だが、ロシア軍は依然として、ウクライナ東部ドンバス地方で、装備に劣るウクライナ軍に対する攻勢を強めている。バイデン氏はウクライナへの追加支援のため、比較的裕福な欧州諸国を頼ることができるだろうか。ドイツの「キール世界経済研究所(IfW)」によると、米国は6月7日までにウクライナへの軍事、財政、人道支援として427億ユーロ(約6兆1000億円)を拠出した。欧州連合(EU)の加盟国や関連機関の拠出額は272億ユーロにすぎない。フランスやドイツなどの富裕国は、重要な重火器を供与しているが、はるかに多くの追加支援が可能だ。