最初のムスリムは妻ハディージャ
そして妻ハディージャが、最初のムスリムとなりました。
ムスリムはイスラーム教の信者の呼称です。
洞窟を訪れた男は、アッラーフに仕える大天使ジブリール(ガブリエル)でした。
こうしてムハンマドは神の預言者としての生活を始めました。
しかし神の言葉(クルアーン)を、マッカの人たちに伝えること以外、彼の生活はいささかも変化しませんでした。
けれどもマッカでは、素朴な多神教が信じられていましたから、マッカの住人たちはムハンマドが教える新しい一神教に反感を抱きました。
反感は次第に悪意に転化し、ムハンマドと信者たちはマッカを捨てて、西北のマディーナへ逃れ、その地で新たに布教を始めました。
それは622年のことです。
このムハンマドが移住した年を、イスラームの世界ではヒジュラ(聖遷)と呼び、イスラーム暦ではこの年を元年としています。
マディーナに移り住むようになってから、ムハンマドが説く教えを信じる人々が増加していきました。
イスラームの小さな共同体(ウンマ)が生まれ、やがてそれはマディーナ全体を支配するほどの規模になりました。
ムハンマドは、マディーナの支配者になります。
すなわち市長であり、軍の司令官であり、イスラーム教の教祖でもあり、一人の聖職者として葬儀なども司式(ししき)していました。
やがてムハンマドは、自分を追放したマッカの軍勢と戦い、勝利を収めます。
しかしマッカに移住することなくマディーナを拠点として、同志である戦友たちとアラビア半島でイスラーム教の世界を拡大し、アラビア半島の事実上の支配者となって晩年を迎えました。
そして人生の最期を、若い妻アーイシャの膝の上で眠るように迎えます。
悟りを求めるために、ブッダは社会的な地位と妻子を捨て、修行の道に入りました。
イエスはおそらくマグダラのマリアを愛していたのでしょうが、殉教者として死を選びました。