イスラーム教が信者を増やした理由
イスラーム教の信者はインドネシア、パキスタン、バングラデシュ、インド、マレーシアなど、東南アジア各国に数多く存在します。
それは、アラビア商人が中国との交易の関係もあって、東南アジアに商品をたくさん持ってきて商売をしたからです。
アジアの人たちはイスラームの商人を見て、自分たちもイスラーム教を信じれば、もっと商売がうまくいくようになるかなと思ったことでしょう。
前回述べたように、イスラーム教には専従の聖職者はいません。
ですから、たとえばインドネシアの商人で、イスラーム教に興味を持った人がビジネス相手のアラビア人に、イスラーム教徒になりたいと言えば、仲間の商人や船乗りで聖職者を兼業している人が仲介してくれます。
そういう気安さが、この地方に信者を増やしていったのでした。
仏教やヒンドゥー教が難しすぎたり、民族的な特色がありすぎたりしたことが、イスラーム教にとって有利に働いたのかもしれません。
『哲学と宗教全史』では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を、出没年付きカラー人物相関図・系図で紹介しました。
僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。
(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)