世界中のムスリムは、アラビア語でクルアーンを詠唱している!
ムハンマドはアラビア人でアラビア語しか話しませんでした。
したがってクルアーンもアラビア語で書かれています。
そして特筆すべきことは現代でも世界中のムスリムは、アラビア語でクルアーンを詠唱していることです。
神の言葉は唯一無二なので、クルアーンを翻訳することは、信仰上許されません。
世界中のモスクから聞こえてくるのは、アラビア語の祈りです。
参考文献としての翻訳は許されていますので、その意味はそれぞれの言語で教えられていることでしょう。
こうして世界中のムスリムは、耳からアラビア語を理解するようになっていきます。
日本語の新約聖書を読んでいる日本人のキリスト教徒と、ドイツ語の新約聖書を読んでいるドイツ人のキリスト教徒が出会っても、もしも2人がお互いの言語を理解できなかったり、リンガ・フランカ(国際語)である英語を話せなかったりしたら、この2人がキリスト教について議論するのは不可能です。
けれどもムスリムは、同じアラビア語でクルアーンを学んでいますから、初歩的なコミュニケーションは可能でしょう。
クルアーンを覚えるにはアラビア語を覚えるしかありません。
そのことによって世界中のムスリムがつながっていく側面を、イスラーム教は持っています。
結果として布教しやすい宗教になっていったのでしょう。
『哲学と宗教全史』では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を、出没年付きカラー人物相関図・系図で紹介しました。
僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。
(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)