米国は依然として政治的対立を民主的に、さらには平和的に解決できるのだろうか。それは今後分かるだろう。米最高裁は24日、「ロー対ウェイド」裁判の判決を覆す判断を下し、人工妊娠中絶という深遠な道徳的問題を、各州および民主的な形の同意へと引き戻した。批判的な向きは、「ドブス対ジャクソン女性健康協会」裁判について6対3で下された24日の判決について、選挙で選ばれていない判事らが決めた裁定だと指摘する。だが1973年のロー判決は、バイロン・ホワイト判事が反対意見の中で述べたように、真に「未熟な司法権の行使」だった。7人の最高裁判事は、合衆国憲法のどこにも言及されておらず、米国の慣習法の歴史にもない中絶の権利が憲法上にあると主張した。だが最高裁は今回、49年にわたって最高裁の正当性を損ない、わが国の政治問題をあおってきたその誤りをついに修正した。