2025年度一般会計予算に占める補正予算での追加額
の割合

わが国の財政運営に対する市場の警戒感が高まっている。長期金利の指標である新発10年債利回りは、4月中旬には2%台半ばと、29年ぶりの水準に上昇した。
「責任ある積極財政」を掲げる高市政権は、財政の健全性にも配慮する姿勢を示しているものの、歳出膨張に伴う国債増発への懸念を払拭し切れていない。
財政規律の向上に向けた課題の一つが、常態化する大型補正予算の適正化である。新型コロナウイルス感染拡大の収束後も大規模な補正予算の策定が続いており、2025年度の一般会計における補正予算での追加額は18兆円と、予算全体の13.7%に上る。費目や部局によっては、補正後の予算が当初予算に比べ7倍弱に増額されたケースもある。
補正予算は当初予算に比べ予算編成や議会での審議に要する時間が短いため、非効率かつ不必要な支出が計上されやすい。当初予算では歳出総額や新規国債発行額が厳しく抑制されているため、必要な支出を補正予算に計上せざるを得ないケースがあるものの、そうした予算支出は中長期的に継続できるかどうか不確かである。
補正予算を含む支出全体を適切にコントロールし、財政規律の向上につなげるためには、補正予算に計上されている継続的に必要な支出も含め、複数年度にわたり予算を管理・運営する多年度予算編成を導入することが望まれる。補正予算の編成は、想定外の経済ショックや大規模災害への対応などに限定する必要がある。
政府は、経済安全保障上重要な「危機管理投資と成長投資」を別枠で管理し、複数年度で財源を確保する意向を示している。
まずは危機管理投資と成長投資について、多年度予算編成を導入し、その後、歳出全体に広げていくことが肝要だ。
財政運営に対する信認を強化するためには、多年度予算編成を導入するだけでなく、財政状況や予算の進捗を客観的に評価し、必要であれば財政運営の是正を提言する機関も求められる。わが国でも、諸外国の事例を参考に、こうした機能を担う「独立財政機関(IFI)」を早期に設立すべきである。
(日本総合研究所 調査部 副主任研究員 村瀬拓人)







