サウジアラビアは、世界的なアートの拠点になるという長期目標に向けて大きな一歩を踏み出している。向こう数年にかけてジェームズ・タレル氏やマイケル・ハイザ氏ら有名アーティストを招き、北西部の砂漠地帯にアート作品を恒久的に設置する計画だ。サウジの文化当局によると、蜃気楼(しんきろう)をまねた鏡のインスタレーションから、レンガの壁で作られた迷路の町まで、第1弾となる5作品が25平方マイル(約75平方キロメートル)の「ワディ・アルファン(芸術の谷)」に点在する見通しだ。この芸術の谷は、文化拠点と人気観光地を目指すサウジが数十億ドルを投じる取り組みの一環だ。7月のジョー・バイデン米大統領の訪問や原油の増産拡大、くすぶる人権侵害への懸念といった要因を背景に、サウジは地政学上、再び注目を集める存在として浮上しており、芸術の谷に関する詳細も明らかになりつつある。