債務を返済できないと、再び融資を受けることができなくなる可能性がある。これは国家には当てはまらない。それがロシアだとしてもだ。ロシアの外貨建て債務は、ロシア革命後で初となるデフォルト(債務不履行)に陥った。ロシア政府には元利金を支払う意思も能力もあったが、西側諸国の制裁で銀行・清算機関・債券保有者による元利金の決済や受け取りが禁じられた結果、このような事態となった。このため、過去に他国が債務不履行となったケースよりもはるかに複雑な法廷闘争が長年続くことになりそうだ。米国はこれまでにロシア政府がドル建てで新規の資金調達を行うことを禁じ、同国を銀行システムから締め出したが、既存債務の履行は一時的な例外措置として認めていた。5月にはこれを失効させ、ウクライナに侵攻したロシアに対する圧力を強めた。投資家はこれを織り込み済みで、ロシアのドル建て・ユーロ建て国債相場は3月以降に約75%下落していた。