介護保険での住宅改修に最大20万円助成、高齢者の利用状況で意外な盲点写真はイメージです Photo:PIXTA

 介護保険の住宅改修費給付制度の利用状況を調査した結果が報告された。医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構の土屋瑠見子氏らの研究によるもの。認知機能障害や視覚障害による要支援者は、他の理由による要支援者よりも、住宅改修を行う割合が有意に低いことなどが明らかになった。詳細は、「BMC Geriatrics」に5月20日掲載された。

 何らかの機能障害がある場合、その障害のタイプや程度に応じて住宅改修を行うことにより、転倒などによる受傷リスクが低下し生活の質(QOL)が維持され、死亡リスクが低下することが報告されている。介護保険制度でも、要支援・要介護認定を受けた場合には、住宅改修コストの1~3割、最大20万円まで助成され、手すりの設置、段差解消、便器の取替えなどが可能だ。土屋氏らは、この制度の利用状況と、障害のタイプ、性別、世帯収入などとの関連を詳細に検討した。

 解析には、首都圏にある人口約49万人の都市の2010~2017年度の介護保険関連データを用い、要支援認定を受けた人の住宅改修状況を調べた。前記期間に要支援認定を受けた1万1,229人から、転居者や解析に必要なデータの欠落者などを除外した1万372人を解析対象とした。なお、この都市の高齢化率は27.4%で、調査実施時点の全国平均(28.1%)とほぼ一致している。