春季リーグ戦5位からの巻き返しを誓った早大野球部は、新潟県南魚沼市での合宿に臨む。今の4年生は、コロナ禍で合宿を経験できなかった世代だ。小宮山悟監督は当初、4年生を全員合宿に連れて行こうと思っていたが、最終的には参加を強制せず、4年生の自主性に委ねた。その裏には、メジャーリーグでの自らのキャンプ経験があった。小宮山がメジャーのキャンプで学んだこととは?(作家 須藤靖貴)
夏合宿に臨む早大野球部
小宮山監督が見せた「親心」とは?
夏のキャンプだ。
早稲田大学野球部も新潟県南魚沼市への合宿がかなう。8月8日から19日までだ。
春季リーグ戦5位からの巻き返しを期し、盛夏の中越に乗り込む。春のシーズン終了後、「目の色を変えて練習する」と部員たちは決意を口にした。
厳しい鍛錬が待つわけだが、小宮山悟監督は4年生への気配りを忘れなかった。
スタッフミーティングのとき、4年生幹部にこう告げた。
「4年生を全員(南魚沼へ)連れて行こうと思う」
彼らが2年生のときに日本中がコロナ禍に席巻された。チームでの移動制限もやむなきことだった。部員全員が検査陰性で合宿に臨んだとしても、現地で1人が陽性となってしまう事態もあり得る。すると全ての参加者が一定期間足止めを食らい、その後のオープン戦などの日程に支障が出る。この2年間は合宿に行きたくても行けなかった。
2022年の夏に参加しなければ、一度も合宿を経験しない4年生が出てきてしまう。それではあんまりだ――そんな親心、OB心である。
メジャーでのキャンプ経験
驚がくの練習法とは
キャンプについて、小宮山には忘れ難い思い出がある。