約9割が今後も継続してマスクを着用したいと望んでいる

 世界的に感染症対策の緩和が進む中、日本でも周囲と距離が取れる場合や会話が行われない場合において、マスクの着用が必要ないと周知されるようになってきた。特に夏場は熱中症を予防するために、屋外ではマスクを外すことが推奨されている。

 そうした政府の意向に反し、マスクを外して外出している人はまだそれほど多くない。筆者の肌感覚では、6月末現在、屋外でマスクを外している人をチラホラ目にするが、8~9割ほどの人はマスクを着用している印象だ。筆者自身もよほどの息苦しさを感じない限り、屋外でもマスクを着けている。その真意は本来の感染対策ではなく、世間に「素顔」をさらすことへの抵抗感があるからだ。

 このようにマスクを外すことがおっくうになっている人は想像以上に多い。Job総研が708人の社会人男女を対象に実施した「2022年 脱マスクに関する意識調査」によると、「今後もマスク着用を継続したい」と回答した人は、87.3%を占めている。その理由として「既にファッションとして定着しているため、今後も着用の文化は継続しそう」などの回答が目立っている。

 また、「着用はやめたいがすでにマナー化している」や「非着用は周りの目が気になってしまうので現実的に着用は心理的義務になっている」など、マスクを外したいけど周りの目が気になっているという意見も散見された。また、マスクをしていない人の印象について「関わりたくない」(36.5%)、「不快に感じる」(25.6%)と答えた人が全体の62.1%を占めている。

 長らくマスク生活が続いた結果、公の場でマスクを着用することがエチケットになっている。そのため、人通りの多い場所でマスクをしていない人を見ると「常識のない人だ」「なるべく近寄らないでおこう」とネガティブに判断してしまうということだろう。コロナ禍が緩やかになり、厚労省からの感染対策の緩和について発表があったとしても、世間の認識が直ちに変わるわけではない。マスクを外すことで得られるメリットよりも「周りから注目されたくない」「同調しておいた方が心理的なダメージが少ない」という気持ちが先行してしまうのも無理はないと筆者は思う。