コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はエムスリー、Zホールディングスなどの「ITサービス」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
メルカリ、楽天、エムスリー…ITサービス5社は
驚異の10四半期連続で2桁増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下のITサービス業界5社。対象期間は22年1~3月期としている。
各社の増収率は、以下の通りだった。
・エムスリー
増収率:18.8%(四半期の売上収益540億円)
・Zホールディングス
増収率:22.7%(四半期の売上収益4073億円)
・楽天グループ
増収率:11.7%(四半期の売上収益4371億円)
・MonotaRO
増収率:18.7%(四半期の売上高546億円)
・メルカリ
増収率:34.2%(四半期の売上高385億円)
※MonotaRO、メルカリは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、当社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
いずれも前年同期比で2桁増収となったITサービス業界の5社。しかも、本連載で定点観測の対象とした19年10〜12月期から22年1~3月期まで「10四半期連続」で、5社全てが2桁増収を記録するという驚異の好調ぶりだ。
中でも、今回飛び抜けて高い増収率を記録したのがメルカリだ。唯一、3割超の増収となっている。
一方で、メルカリの足元の業績をつぶさに見ると、右肩上がりだった同社の成長にかげりが見られる側面もある。その理由とは。
次ページ以降では、メルカリの業績を詳しく解説するとともに、各社の増収率の推移を併せて紹介する。