どんなものも、ただでは手に入らない。米半導体業界が、大きくなりつつある政治的影響力の恩恵を受けられるようになるには、一定の代償を支払う必要があるのかもしれない。半導体メーカーは、米国に拠点を置く半導体製造に約520億ドル(約7兆円)の資金を提供する法案の成立をやきもきしながら待っている。この法案は、2020年末から自動車業界をはじめ世界中の産業を揺るがしている半導体不足の影響を受けたものだ。価格1ドルのマイクロコントローラー(マイコン)チップが足りないために4万ドルの自動車が出荷できないという事態に、当時、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の対応に追われていた議員たちも強い危機感を覚えた。