6月25日昼頃、作家志望の中国人女性ミッフィー・グーさん(25)は、いつものように執筆中の小説原稿の文書ファイルをクリックした。しかし、次の瞬間に起きた出来事は程なく、数百万人の中国ネットユーザーを恐怖と不満で結束させることになる。市民のデジタル生活に政府がさらに深く侵入している実態が露呈したためだ。グーさんが目にしたのは、自身のファイルではなく、文書ソフトウエアからの警告メッセージだった。「この文書には禁止コンテンツが含まれている可能性があります。アクセスが凍結されました」「パニックに陥った」というグーさん。「すでに100万ワードも書いていたのに、ファイルが開けなくなるなんて」グーさんが使っていたのは中国国産のオフィス向け文書ソフトウエア「WPS」で、国内では最もダウンロード数が多い。グーさんは文書へのアクセスを回復するため、WPSのメーカーである金山弁公軟件(キングソフトオフィス)とのやりとりを重ねるうちに、当初のパニックは怒りへと変わった。