ジャレッド・バーチャル氏(48)は昨年暮れ、上司のイーロン・マスク氏に詰め寄っていた。生真面目な資産管理者であるバーチャル氏はマスク氏の右腕となり、同氏のファミリーオフィス(超富裕層の個人資産運用)の責任者に上り詰めた人物だ。彼はマスク氏の側近の中で急速に影響力を広げつつあった新たな存在に懸念を抱いていた。マスク氏は新たなアドバイザーであるロシア出身の元プロポーカープレーヤー、イゴール・クルガノフ氏(34)に頼ることが多くなっていた。新型コロナウイルス流行時には、クルガノフ氏がマスク氏の自宅に泊まり、夜中まで語り合う間柄となった。「効果的な利他主義」と呼ばれる慈善戦略を通じて、マスク氏の巨大な個人資産をどう社会貢献に役立てていくかが議論のテーマだった。
マスク氏の巨額資産巡る内紛、その内幕
慈善活動への寄付の差配に影響力を持ち始めた新参の側近と、彼の解任を求めた古株の資産管理責任者
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