日本銀行日銀は世界の大勢に反して金利上昇を抑制し続けてきた結果、円キャリー取引と国債先物売りの「2種類の投機」に挟撃されている。緩和策を続けても変更しても泥沼だ Photo:PIXTA

長期金利抑制策は末期症状
まだ続くヘッジファンドの攻撃

 円安が139円台まで加速したなかで日本銀行は20、21日の政策決定会合でどのような方針を打ち出すことになるのか。

 前回6月の決定会合直前には海外のヘッジファンドによる国債の先物売りが急増した。

 日銀が必死で応戦したが、国債先物市場で制限値幅を超える取引を一時中断するサーキットブレイカーが発動されたり、現物価格と先物価格の裁定が成立しなかったりなどの異常事態が起きた。市場が大混乱に陥り国債市場が機能喪失状態になった。

 財務省が発表した「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、決定会合直前の6月12~18日の対内中長期債投資はファンドなどの売りで2005年1月の統計開始以来、最大となる4.8兆円の売り越しとなった。

 だがヘッジファンドの攻撃は終わりになったわけではない。

 日銀が緩和維持を続け金利差が拡大することを見こした円キャリー取引と、いずれ長期金利を上げざるを得ないと予想する国債先物売りの「2種類の投機」に日銀は挟撃され続けている。

 進むも地獄、退くも地獄だ。