【「5回勝負して4回勝つ人」と「100勝負して60回勝つ人」ビジネスで優秀なのはどっち?】の広告でも話題沸騰。全国3000社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。
「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。

【おしゃれなホームページを作れば人が集まる?】まったく仕事ができない人の残念な思い込みPhoto: Adobe Stock

「やった気になること」を排除せよ

 長時間の会議をやって仕事をした気になっている人がいます。

 これは、会議をやっている「時間」が、仕事の「変数である」と勘違いしているから起こります。

雑談をしてスッキリした
みんなの思いを聞けて安心した

 など、数字で語れるようなメリットが得られていないことがほとんどです。

「Aチームの業務改善のために、10個のアイデアを出す会議をします」

 というように、数値化した目的があれば、会議は成立します
 そのためには、リーダーやメンバーが数字で物事を考えられないといけないのです。

 もう1つ例をあげましょう。

「社長から現場に対して直々に説明をしてほしい」というような声が上がるとします。
 これは、社長が直接みんなに声をかける「回数」が「変数である」と誤解しているからやりがちなことです。
 それによって「士気が上がった」「鼓舞されて納得できた」と思い込んでいるのです。

 では、どんな数値的な成果が上がったのでしょうか。それは検証できません。
 やった気になっているけれど、数値化できないものが、会社や組織の中にはたくさんあります。

 それらを減らしていくのが、「変数か、そうじゃないか」という判断基準なのです。

意味を「後付け」してないだろうか?

 人間には、「やったことに意味を後付けする」という性質があります。

 たとえば、子どもが塾に行ったにもかかわらず、成績が上がらなかったとしましょう。
 その場合、親はこのように考えます。

「塾に行かせたおかげで現状維持ができているんだ。もし、塾に行かなかったら、成績は落ちていたに違いない」

 せっかくやったのだから、そのことに「意味がなかった」ということをなかなか認められないのです。

 これと同様のことが、さまざまな場面で起こります。
 たとえば、お店の利益を上げたいときに、

「内装をカッコよくしたら、人が集まるでしょう」というような、安易な考えをする人がいます。
 もしくは、おしゃれなホームページを作れば人が集まると思い込む人もいます。
 そうではなく、その行動が「顧客を増やすため」なのか、「単価を上げるため」なのか、といった目標とつながりがないと意味がありません。

 そのために、「PDCA」が力を発揮します。
 いかなるときも、「P(目標)」が何かを忘れないことです。
 そして、それに対して行なった「D」に対して数字としての成果があったかどうかが大事です。

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2022年7月現在で、約3000社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、36万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。