【「5回勝負して4回勝つ人」と「100勝負して60回勝つ人」ビジネスで優秀なのはどっち?】の広告でも話題沸騰。全国3000社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。
「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。
目標の「%」に気をつける
経営者やマネジャーは、部下やプレーヤーが行動に移せるような目標設定をする必要があります。
たとえば、「契約率『50%』を目指す」というような目標を掲げたとしましょう。
すると、どんなことが起こるでしょう。
もし、10件中5件の契約が取れたとしたら、次の11件目に臨まなくなります。
「ヘタに次の契約が失敗したら、11分の5で、50%を切ってしまう……」
と考えて、チャレンジすることが不利益になってしまうからです。
やらないほうがトクになってしまうのですが、こうなることは避けないといけません。
そもそも、「%」は悪用されたり、誤解を与えることが多い概念です。
「うちの塾は、合格率90%以上です」
→ ただし、1人が複数校に合格しているものもカウントする
「うちの会社は、利益が前年比1000%で成長しています」
→ ただし、昨年の利益は1万円だけで、今年も10万円しかない
「私たちの会社は、東大卒が50%です」
→ ただし、2人のうち1人だけ
など、計算の仕方によって印象を操作したいときに、「%」は便利です。
それを理解した上で、ダマされないようにすべきです。
そのための口グセとして、
「この%は、何分の何ですか?」
という確認が便利です。
相手から説明されないときは、何かしら隠しておきたい「意図」があると思って間違いないでしょう。
これは、「行動量」を確認する意味もあります。分母が量を表しているからです。ここでも心を鬼にして数字と向き合う必要がありますね。
組織と個人が「ブレーキ」を踏むとき
経営でも同じことが起こります。
「前年比」という基準があります。
たとえば、昨年は10億円の売上があったとしましょう。
そして、今年は「前年比105%の売上を達成すること」が目標になったとします。
半年が経ち、予想よりも売上が順調にいき、12億円の売上が達成できそうな予測が立ったとします。
すると、次のような誘惑が頭に浮かばないでしょうか。
「このままいけば、12億円の売上が達成できる。しかし、待てよ。来年も前年比105%の売上が目標になりそうだ。そうであれば、来年の目標達成が苦しくならないように、今年の売上は11億円くらいに抑えて余力を残そう」
まさにこれが、「%」によって行動にブレーキを掛けてしまう瞬間です。
調子がいいときに12億円の売上を達成したほうがいいに決まっているのに、翌年が大変になってしまうことを考えてしまって、11億円に抑えてしまう。本末転倒なことが起こるのです。
このご時世、来年や再来年も、同じように成長するとは限りません。
今の日本では、現状維持でさえ難しい企業も多い。
それなのに、「前年比」という計算にとらわれてしまい、目の前の成長を止めてしまうのです。
この誘惑は、個人でも組織でも、同様に起こりえます。
「このへんでセーブしておこう」
「余裕を残しておこう」
という判断は、すぐにクセになり、本気を出すことをしなくなります。
余力というのは、次の事業や新しいスキルに投資して、さらに大きくリターンを得るときに使う言葉です。
投資によって成長を生むための余力であって、節約のための余力ではありません。
長期的な視点が必要なのを覚えておきましょう。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2022年7月現在で、約3000社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、36万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。