全国2700社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。
「失敗を避ける」か、「失敗が当たり前になる」か
数値化ができる人は、「失敗」を認めることができます。
「失敗しなくなる」のではありません。「失敗を認められる」のです。
そもそも、ビジネスにおいて失敗はつきものです。
失敗があることが当たり前です。
私自身、失敗の連続です。
大事なことは、失敗を失敗と認めて、次につなげることです。
同じ失敗を繰り返すことだけは、避けないといけません。
失敗は「情報」である
たとえば、目標を立てて英語を勉強するとしましょう。
「1日10単語を覚える」という目標を立てて、実行し、1日に8単語しか覚えられなかったとします。
そうであれば、次にどうすれば10単語が覚えられるのか、あるいは、そもそも10単語の目標が高かったのか。それを分析することができます。
失敗は貴重な情報です。
それを数値化して受け入れれば、絶対に次につなげることができます。
しかし、日々、なんとなく「10個も覚えられないなぁ」「集中力と気合いが足りないんだろうなぁ」と繰り返していると、いつまで経っても改善されません。
なんとなくダイエットを始めて、「なかなか痩せないな……」と思い続けるのと同じで、ムダな時間でしかありません。
失敗は数値化して次につなげてこそ、結果を生みます。
「自分に甘い人」の考え方のクセ
もっとも避けないといけないのは、失敗を失敗と認めないことです。
「アポを1日5件入れる」という目標があったとして、3件しか入れられなかったときに、どのように受け止めるでしょうか。
「半分以上できたから、まあいいか」
「本気を出せば頑張れたから大丈夫だろう」
と、自分に甘い評価をしていないでしょうか。
自己認識の甘さによるデメリットは、「よく頑張った」「なんかダメだった」と、曖昧な評価を認めてしまっていることです。
そういう甘い見積もりをするのは、やめましょう。
失敗は失敗として正しく認識してこそ、次からは改善できる。そのために「数値化の鬼」となりましょう。
そうでないと、失敗を隠すためにデータを改ざんする官僚みたいな人になってしまいます。
「気合い」でなんとかするな
そうはいっても、厳密に言えば、「読書を1日1時間する」という目標を立てても、5分おきにスマホを見てしまったりしている可能性はあります。
ストップウォッチを片手に読書時間を計るような、そこまでストイックに厳しくする必要はないかもしれません。
ただ、ざっくりとでも数値化して、自分の行ないを客観的に把握するクセがあるかないかの差は大きいです。
ここで伝えたかったことは、とにかく自分に甘い評価を下すクセをなくすことです。
そういった、頭のいい人、悪い人で「仕事の差」がはっきりと現れてしまいます。
それは、「1日にできる自分の限界を正しく認識する」という違いです。
「気合いを出したらできる」
「徹夜したらできる」
「土日に持ち越したらできる」
そういう錯覚は、自分への厳しい見積もりができると消えてなくなります。
そのためには、いったん、心を鬼にするように数字だけを見るのです。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2022年3月現在で、約2700社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、29万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。