ファミリーマートPhoto by Ryosuke Shimizu

ファミリーマートへの出資と
CTCの株式公開

 伊藤忠が従来のトレーディングから進化したビジネスが二つある。それはコンビニビジネスとITビジネスだ。

 二つへの関与が本格化したのは1990年代末からだ。98年にはファミリーマートへ出資し、99年には傘下の伊藤忠テクノサイエンスが上場している。いずれも丹羽宇一郎が社長だった6年間にやったことだ。

 丹羽は99年に特別損失を一括処理した英断で知られるが、一方、コンビニビジネスとITビジネスに注力し、伊藤忠の成長にも貢献している。

 彼自身は次のように語っている。

「私が社長に就任して直面したのは、伊藤忠の歴史でいまだかつてない『攻め』と『守り』の両面での重要な決断を行うことでした。『攻めの決断』は、就任以前から進行していたファミリーマートの株式取得、西武百貨店との提携、吉野家への資本参加、伊藤忠と丸紅の鉄鋼部門の経営統合などの案件がありました。『守りの決断』は、1999年の総額約4000億円に上る低効率・不採算資産の処理(特別損失)でした」(記念小史)