壁を超えたら人生で一番幸せな20年が待っていると説く『80歳の壁』が話題になっている今、ぜひ参考にしたいのが、元会社員で『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作で悲喜こもごもの人生模様を描いてきた漫画家・弘兼憲史氏の著書『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)だ。弘兼氏のさまざまな経験・知見をもとに、死ぬまで上機嫌に人生を謳歌するコツを説いている。
現役世代も、いずれ訪れる70代、80代を見据えて生きることは有益だ。コロナ禍で「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにして、どのように「今を生きる」かは、世代を問わず、誰にとっても大事な課題なのだ。人生には悩みもあれば、不満もあるが、それでも人生を楽しむには“考え方のコツ”が要る。本書には、そのヒントが満載だ。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』より一部を抜粋・編集したものです。

【漫画家・弘兼憲史が教える】「死んだらすべてが終わり」と断言するワケ作:弘兼憲史 「その日まで、いつもニコニコ、従わず」

ゴルフ帰りに墓参り!?

【前回】からの続き

なぜ埼玉県に引っ越したのかというと、都内の境内墓地には空きがなかったのと、実はもう一つ、僕がよく行くゴルフ場に近いという理由もありました。ゴルフをした帰りに、たまに墓参りをすればいいと考えていたのです。

ところが、いざ墓を引っ越ししても、結局はなかなか墓参りに行く機会を作ることができていません。ゴルフをしたあとに墓参りというのも、なかなか現実には難しいことがわかりました。

お寺の住職は、僕のことをどう思っているのでしょう。「まったく、親不孝なやつだ」などと苦々しく思っているのかもしれませんね。

望むなら好きなお墓に入ろう

ちなみに、うちのかみさんは何年か前、自分で都内に父親のお墓を作りました。その霊園は無宗教で、動物の納骨も認められています。そんな自由な雰囲気が気に入ったようです。

あるとき、岳父の命日のタイミングで一緒にお墓に行ってみたのですが、なかなかいい雰囲気でした。墓石一つをとっても、形がさまざまで、自由奔放なのです。墓地特有の湿っぽさがなく楽しそうで、「こういうのはいいな」と感じました。

今の時代、お墓の形はさまざまで自由に選択できます。そして、別に夫婦一緒でなくても、本人が望むなら、好きなお墓に入るのが一番だと考えています。

「ネット墓」という選択

最近は、墓石を作らないどころか、故人のデータをインターネット上に登録する「ネット墓」も登場しています。

故人と生前ゆかりのあった人が、スマホやパソコンから「ネット墓」にアクセスし、手を合わせたりメッセージを寄せたりして故人を偲ぶ「ネット墓参り」をするのだそうです。あるいは、故人が生前残していたブログやSNS(交流サイト)などが「墓標」として残されるという話を聞いたことがあります。

今は、高齢者でもスマホやパソコンを使いこなす人が増えましたし、SNSに投稿している人もたくさんいます。定期的に投稿していた人がしばらく音沙汰ないかと思っていたら、実は本人が亡くなっていた──みたいなことが数多く起きているはずです。

僕の考えは死んだらすべてが終わり。ブログやSNSが残っても問題はないという考えです。

※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。