ひとつ考慮しないといけないのは、会社によっては、65歳が定年退職の日だと正式に定められている場合、定年前の64歳11カ月で辞めたら、退職金を満額もらえないこともある。自分の勤めている会社では問題はないか、事前に人事部などに確認しておくのがいいだろう。

年金が42%も増える!?賢い人がやっている「繰り下げ受給」とは

 年を取って収入がなくなったら、国から支給される年金が頼りになる。では、年金は何歳から受け取ることができるのか、知っているだろうか。

「65歳から」と思った人が少なくないかもしれない。確かに65歳スタートが基本で、実際にそうする人は多い。しかし、じつは60歳から75歳までの間なら、いつ受け取りはじめてもかまわないのだ。

 年金を65歳からではなく、66歳以降に受け取ることを「繰り下げ受給」、65歳より前に受け取りを開始することを「繰り上げ受給」という。いずれも年金事務所への申請が必要で、いったんスタートしたらその後はもらい続けることになる。

 実際には年金受給者の多数が65歳からはじめる一方、約15%の人が繰り上げ受給を行っている。60歳以降に仕事がなくなったり、働いて得た収入だけでは暮らせない人は少なくないのだろう。60代前半のまだ元気なうちに受給して、楽しいことに使おうという考え方をする人もいそうだ。

 繰り上げ受給を申請して、早めに年金をもらうと得するように思えるかもしれない。だが、65歳から支給される場合と同じ金額はもらえない。同額を早くもらえるのなら誰でもそうするから、この仕組みは当然だ。

 繰り上げ受給をすると、もらえる年金はひと月あたり0.4%の減額になる。何だ、大したことはない、などと思ってはいけない。65歳から1年早めるだけで、4.8%の減額になってしまう。60歳になった早々からもらいはじめると、5年間繰り上げることになるので、通常より24%も低い金額しかもらえないのだ。

 これに対して、66歳以降に繰り下げ受給をすると、繰り上げ受給とは逆に、年金がひと月あたり0.7%の増額になる。1年繰り下げたら8.4%増額されるので、70 歳まで我慢したら支給額が42%も増えるのだ。さらに上限である75歳まで受け取らないでいると84%も多くなる。