小麦やトウモロコシ、大豆などの穀物市場では、ヘッジファンドや投機筋が値上がり益を手にして市場から姿を消したことで、価格下落に拍車が掛かっている。需給に照らして正当化される水準を下回っていると指摘するアナリストもいる。今年に入りインフレや戦争に伴う供給問題が懸念材料に浮上すると、商品価格の上昇を見込んだ市場参加者が先物市場に資金を注ぎ込み、相場を押し上げていた。小麦と大豆は最高値をたびたび更新し、トウモロコシは史上最高値に迫っていたが、ここにきて状況は一変した。投機筋は利益を確定してインフレ取引を手じまい、リセッション(景気後退)に備えて穀物市場から撤退した。穀物価格はほぼ1年前の水準まで下落している。当時は不作により歴史的に見れば高値圏にあったものの、ロシアのウクライナ侵攻という押し上げ要因はまだなかった。