上流社会で危機が起きている。誰もプライベートジェット機を手配してくれず、ワインリストだけでなく決算報告書についても説明してくれる万能なアシスタントはほとんどいない。そして、愛犬のうんちも片付けてくれない――。多くの企業を悩ませる人手不足で、「いいアシスタントがなかなか見つからない」というよくある愚痴がめったに当てはまらない超富裕層にも支障が出ている。取締役会の準備にも家政婦や運転手の管理にもたけたエグゼクティブアシスタント(役員補佐)を求め、多くの人が人材派遣会社に華麗な肩書を持つ仕事の紹介を依頼している。その肩書とは「チーフ・オブ・スタッフ(首席補佐)」だ。チーフ・オブ・スタッフは、有能さと謙虚さというまれな組み合わせが必要とされる仕事だ。ある派遣会社では、博士号を持つ人を、高度な事務作業とコーヒーくみの両方の業務が必要な仕事に紹介した。派遣の専門家によると、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市では、このような業務に見合わない優秀な経歴を持つアシスタントの報酬の相場は年間約20万ドル(約2700万円)だ。実績豊富な人であれば30万ドル、場合によって40万ドル要求できることさえある。
年収5000万円も、高騰する役員アシスタント職
米国では仕事と私生活双方で全てをこなす補佐役が引く手あまたに
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