ロシア政府は8日、米政府が課した渡航制限を理由に、米ロ間の核軍縮条約「新戦略兵器削減条約(新START)」に基づく査察活動の再開を支持しないと述べた。ロシアによるウクライナ侵攻を巡る危機が軍縮の領域にまで拡大した格好となった。長距離核兵器を削減する新STARTは、米ロ間の核軍拡競争を制限する最後の主要な協定で、規定の上限に抵触していないか両国が監視に当たっている。新型コロナウイルスの世界的な流行を受け、査察活動は2020年に停止された。米当局者らによると、米国は最近、現場での通常の監視活動を再開できることに期待してロシアに査察団を派遣した。だが、ロシア外務省は8日の発表文で、米国主導の国際制限によりロシアの査察団が自国航空機で米国領内に入ることができないため、米国の査察再開は認められないと表明した。