2022年になり、投資家は「ムーンショット(壮大な目標)」の敬遠を決め込んでいる。だが、実際に「月に行った」企業は例外とするべきではないだろうか。4日、米国家偵察局(NRO)が運用する1基のスパイ(情報収集)衛星がニュージーランドから宇宙へと打ち上げられた。この衛星を搭載したロケット「エレクトロン」は、米国とニュージーランドを拠点とするスタートアップ、ロケットラボ製だ。同社は独学でロケット工学を学んだピーター・ベック氏が2006年に設立した。ロシアによるウクライナ侵攻の直後、米衛星情報分析企業ブラックスカイはロケットラボに対し、打ち上げ予定日の数日前に、紛争地域の真上に衛星を配置するよう軌道変更を依頼した。従来なら、こうしたミッション変更には数カ月かかるところだが、ロケットラボは45日でやってのけた。