市場がすがる5つの仮定、あり得ないとは言えないがPhoto:Michael M. Santiago/gettyimages

ーー筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト

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 筆者はもともと逆張り派で、事あるごとに常識と反対のことをしようとする傾向がある。だが、今はそれも難しい。なぜなら、市場そのものがウォール街の通説に逆らうかのように、逆張りの様相を呈しているからだ。

 現状は見たところ、景気過熱がインフレ率を押し上げ、労働市場の過熱が賃金を押し上げる中、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を4%に引き上げ、その水準を1年維持することで、熱を冷まそうとしているようだ。

 ウォール街のストラテジストや大口投資家の見方はおおむね一致している。フィラデルフィア地区連銀によると、プロの投資家は、来年は米10年債利回りが3.4%(中央値)になると予想。これは足元の2.8%から大きく上昇することを意味する。また、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアインフレ率の予想中央値は、データをさかのぼれる2007年以降で最も高い水準にあり、FRBの目標である2%も大きく上回っている。

 だが、市場はそれに同意していないようだ。債券と株式がこの2カ月に上昇し、ナスダック総合指数が再び強気相場入りするほど持ち直したのは、多くの人が異なる見方をしているためだ。国債や金利先物は、FRBが如才なく利上げし、来年には急ピッチで利下げすることを織り込んでいる。株式や社債は、長期的には金利が下がるとの見通しに浮かれ、深刻なリセッション(景気後退)に陥って当局者を慌てさせる事態にはならないと考えている。