逆イールドが定着
景気後退懸念が高まる
7月以降の米金利市場では、米2年金利が米10年金利を上回る逆イールド(長短金利の逆転)が続いている。逆イールドは今年4月にも発生したが数日で解消した。
逆イールドは、景気後退の兆候として知られる。2年金利、10年金利は、それぞれの期間における政策金利の平均値を反映する。2年金利が10年金利より高いことは、2年後以降の政策金利が景気悪化などで下がることを示唆するためだ。
逆イールドは、過去50年で8回発生した(1973年、1978年、1980年、1988年、1998年、2000年、2005年、2019年)。1998年を除いた7回では、その後に景気後退が起きた。逆イールドが発生してから景気後退までの間隔は、平均して約14カ月である。今年4月の逆イールド発生から14カ月後は、2023年6月となる。
米金利市場は、米連邦準備理事会(FRB)が2022年12月までに3.4%程度まで利上げした後、2023年前半には利下げに転じることを織り込んでいる。過去における逆イールド発生と景気後退までの間隔から考えると、米景気後退は2023年6月から始まると想定されるため、市場が2023年初からの利下げを想定するのは自然な展開といえるだろう。