金利上昇や資源高など、グロース株にとって逆風となるような市場環境が続いている。国内外の株式市場も踊り場を迎えているが、米著名投資家のケン・フィッシャー氏は、市場にくすぶる「グロース株の長期支配は終わった」との見方を一蹴。むしろ、グロース株がけん引する今後の回復に期待せよと説く。
今こそ大型グロース株がけん引する
異例で予想外の回復に備えたい
株式市場では常に、認識されていない現実が今後を決める。直近では米国株や世界株がドル建てで見て弱気相場となり、TOPIX(東証株価指数)の大幅調整に警鐘を鳴らすかのような恐ろしいニュースが相次いでいる。
確かに、さらなる下落の余地は考えられる――実際、悪いニュースは消えることがない。しかし、ここは売る局面ではない。むしろ今こそ、大型グロース(成長)株――特に外国株――がけん引する異例で予想外の回復に備えよう。そのためには、明白だが認識されていない一つの事実を考える必要がある。
今や格安の円相場とは異なり、ドル建ての世界株式は6月中旬、1月の高値からマイナス20%を突破した――正式な弱気相場と言える動きとなった。それでも慌ててはいけない。世界株式の信頼できるデータがある1969年以来、ドル建てで20%下落後、弱気相場底打ちまでの期間の中央値は、わずか0.8カ月だ。
そして、追加の下落幅は7.6%のみ。底値から20%下落の水準に戻るまでの期間も同様に短い。つまり、もはや世界株式の上昇は近いのだ。いま売ってしまえば、上昇の好機を逃しかねない――さらに言えば、2022年の下落分を取り戻すのがより困難になり得る。
足元では、そこからの回復の動きに着目しよう。通常、弱気相場で最も下げた業種カテゴリーが、次の強気相場の序盤で最も高く反発する。それは次に相場の潮目が変わった際、例えば日本の株式市場で大きな比重を占める資本財セクターのような、バリュー(割安)株への打撃となる。基本的に景気の動きに敏感なため、景気後退は最も打撃となるのだ。
直近まで、1月の高値から世界グロース株は円建てで15%下げ、バリュー株は3%上昇した。そして日本グロース株も14%下げ、バリュー株は4%ほど上がった。高水準のバリュエーションと日本国外の世界的金利上昇が、グロース株の長期支配を終わらせたと多くの市場関係者が考える。
しかし、そうではないと声を大にしておきたい。真実は――現在のバリュー株の強さは、この先の弱気さと表裏一体だ。なぜだろうか。