日本の出版業界も変わりつつあるが……

 雑誌や本など、紙媒体の発行数が減少しているという話は度々話題に上る。コロナ禍による巣ごもり需要で2020年~21年にかけては一時的に本の売れ行きが伸びたものの、書店の閉店も相次いでおり、厳しい状況が続いていることは間違いない。

 日本に一時帰国したときには地元のなじみの書店が廃業していたし、韓国でもデパートに入店していた大手書店の撤退や規模縮小が相次いでいる。紙媒体の発行数と書店の減少は世界的な傾向といえるのかもしれない。

 その背景にある理由は、少子高齢化や活字離れもあるだろうが、それよりも大きいのはやはり、コミック、小説、雑誌の書籍全般とニュース記事などを手軽にネットで読むというスタイルが定着したからではないだろうか。

 2021年12月の朝日新聞の記事によると、2019年に日本のコミック販売金額はウェブが紙を逆転した。2020年には、紙冊子のコミックは2706億円、電子コミック(ウェブトゥーン含む)は3420億円と、紙冊子に大きな差をつけていることが分かる。電子コミックの勢いは当面続き、2028年頃には世界市場で約3兆5330億円に達するという見方も出ている。

 日本の出版社も、コミックのデジタル化に力を入れるようになってきている。KADOKAWAが縦スクロールのウェブトゥーンレーベル「タテスクコミック」をリリースした他、今年4月には小学館や集英社もウェブトゥーンに本格参入した。また今や、マンガ雑誌を発行していた出版社の多くはそれぞれにアプリを出し、自社のコミックスをスマホで読めるように配信している。このように日本の出版社もデジタル化を進めてはいるのだが、全体的に「紙のコミックスのデジタル化」という面が強く、制作体制やビジネスモデルを見直すといった根本的な変化とはいえない気がする。

 日本のマンガやアニメ作品は、世界的に、かつ世代や性別を問わずに愛されヒットするものが多い。そしてそれはウェブトゥーンにはまだ超えられない壁であると思う。だからこそ、メリット、デメリットを踏まえた上で、韓国のウェブトゥーンのようにインフラを積極的に作り世界市場へチャレンジしていく姿勢が、今の日本の出版業界にも必要なのではないだろうか。