Solomon氏らはこの研究に、カリフォルニア州を中心に医療機関を展開しているカイザーパーマネンテの医療保険データベースを用いた。2019年2月~2021年1月にわたり継続的に保険へ加入していた成人312万6,427人を、子どものいる群(子どもの年齢が0~5歳、6~11歳、12~18歳の3群)と子どものいない群の計4群に分類。年齢、性別、人種/民族、BMI、併存疾患・疾患重症度、剥奪指数などを傾向スコアによりマッチさせた上で、COVID-19罹患や重症化リスクを比較検討した。

 解析の結果、子どものいない成人は0~5歳の子どものいる成人に比べて、COVID-19に罹患した際に重症化するリスクが高いことが示された。例えば、発症後に入院を有するリスクは49%有意に高く〔発生率比(IRR)1.49(95%信頼区間1.29~1.73)〕、ICU入室に至るリスクは76%有意に高かった〔IRR1.76(同1.19~2.58)〕。ただし、COVID-19罹患率は子どものいない成人の方が有意に低かった〔IRR0.85(0.83~0.87)〕。

 なお、6~11歳または12~18歳の子どものいる成人の感染リスクは、0~5歳の子どものいる成人より有意に高かった〔子どもが6~11歳でIRR1.09(1.05~1.12)、12~18歳でIRR1.09(1.05~1.13)〕。重症化リスクに関しては有意差がなかった。

 本研究の解析対象データは、COVID-19ワクチンが利用可能になる前のものであるため、ワクチン接種が行き渡ったことの影響は把握できていない。またSolomon氏は、「子どもから風邪をうつされたことがあるからといってCOVID-19に感染しないわけではない。身を守る最良の手段はワクチン接種だ。われわれの研究結果は、科学が解明しようとしている非常に大きなテーマのごく一部を明らかにしただけだ」と語っている。

 本研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのMarc Siegel氏は、「ある種のコロナウイルスに感染することが、別のコロナウイルスへの感染に対して保護的に働くという考え方は新しいものではない。報告された研究結果も、そのような考え方が真実である可能性を示す複数の研究のうちの一つだ」と解説する。そして、この研究が、「風邪に罹患すればCOVID-19にかからないことを意味するのではなく、COVID-19罹患時に重症化する確率が低い可能性を示したにとどまる」と述べ、拡大解釈しないように注意を促している。さらに同氏は、「本研究の結果が現在主流となった、より感染力の強いオミクロン株にも同じように当てはまるとは言えない」としている。

 Siegel氏は、「最善の方法は、自分がCOVID-19のワクチン接種を受け、子どもたちにも受けさせることだ」と強調。その上で、「さまざまなコロナウイルスへの曝露は、COVID-19罹患時に重症度を軽減する程度の免疫能を得るのに役立つ可能性がある。ワクチン接種と過去のコロナウイルスへの感染の組み合わせは、重症化を抑えるための良いカクテルなのかもしれない」と語っている。(HealthDay News 2022年8月1日)

https://consumer.healthday.com/severe-covid-symptoms-2657750064.html

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