それは「インフレ抑制法」(IRA)と呼ばれているが、ジョー・バイデン米大統領をはじめとする支持者たちはこの法律を「排出削減法」として扱っている。バイデン氏が先週署名して成立したこの法律により、公益企業や家庭での再生可能電力や電気自動車(EV)への移行を促進する補助金などを通じて、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量は2030年までに2005年比で約40%削減されることになっている。米国が国際公約達成に近づくという意味で象徴的には重要な効果だが、それはこの法律がもたらす最も重要な影響ではない。もともと米国は既に排出量削減の軌道に乗っていた。IRAによる排出量の段階的削減量は、調査会社ロジウム・グループによると6~10%で、プリンストン大学のゼロ研究所によると15%だ。これは、2030年に予想される世界の排出量の約1~3%に相当する。第一歩ではあるが、温度計の針を動かすほどのインパクトはない。
米インフレ抑制法、気候変動に効くのは10年先
グリーン水素など新技術開発加速の可能性
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