最近の株式市場で、新たな投資主体として期待が集まっているものに、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)がある。政府系の投資ファンドを指す言葉であるが、大別するとオイル・資源系、外貨準備高系の2つに分類される。
まず、オイル・資源系のSWFだが、概算でオイルマネーの膨張を体感していただきたい。
原油の価格を1バレル=90ドル、油田の採掘・維持のコストは10~20ドルといわれるが、ここでは上限の20ドルを採用してみよう。2007年9月のOPECの生産量は、日量3062万バレルである。(90―20)×3062万=21.4億ドル(約2350億円)となる。1ヵ月では、2350億円×30日=7兆0500億円である。
実際には、サウジアラビアの油田コストは1ケタ台の前半といわれており、さらに巨額のマネーが砂漠から噴出していることになる。もちろん、国内産業育成のための各種プラントや、インフラ整備のための設備投資をはじめ、歳出分は控除されるわけだが、累積する膨大な余剰資金を金融・証券市場に振り向けるのは当然であろう。
もう1つは中国が象徴的であるが、膨大な貿易黒字に加えて、自国通貨高を抑制するための為替介入(中国の場合は人民元売り・米ドル買い)によって、外貨準備高が膨張するパターンである。
中国の今年9月の外貨準備高は1兆4336億ドルに達しており、全世界の外貨準備高に対するシェアは24%に達している。2000年1月には1561億ドルであり、7年余の間にじつに9倍増となっている。中国に比較すればシェアは小さいが、ロシア、インド、ブラジル等でも着実に外貨は積み上がっている。中国は、今まで米国債を中心に米ドルシフトを継続してきた。しかし、ドルの下落傾向もあり、通貨分散を積極的に進める模様である。資産も債券中心から株式や不動産を含めて多様化の方向を模索しているようだ。