ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「ソマリアってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

ソマリアってどんな国?

 ソマリアは、アフリカ北東部、紅海とインド洋に面した、「アフリカの角」と呼ばれる位置にある国です。ジブチエチオピア、ケニアと国境を接します。

「世界一危険な国」と言われ、2022年8月現在、外務省発表の海外安全情報でも国土全体が「レベル4:退避勧告」になっています。

1980年代から続くソマリア内戦

 1960年、旧イギリス領とイタリア領のソマリランドが合邦して成立しました。1980年頃から各地で反政府活動が活発化し、1990年頃からは、事実上無政府状態が続いてきました。

 国連も多国籍軍を派遣しPKO活動を行ってきましたが失敗に終わりました。

 2005年に隣国エチオピア軍の支援を受けた「暫定」連邦政府が作られ、2012年には新政府が樹立され無政府状況は解消しました。

 この新政権も国土全域を掌握しているわけではありませんが、ソマリ人というほぼ単一民族で構成されているので、今後紛争が終息することが期待されます。

 人口約1200万人の国ですが、100万人を超える国内避難民、60万人もの難民がおり、国民の4割以上が人道援助に依存した生活をしているといわれています。

 長年にわたる紛争に加えて、干ばつの影響も深刻です。国際的な安全保障の脅威とされてきたソマリア沖の海賊行為は、こうした背景のもとで発生してきたものなのです。

ソマリア連邦共和国

面積:63.8万㎢ 首都:モガディシュ
人口:1209.5万 通貨:ソマリア・シリング
言語:ソマリ語(公用語)、アラビア語(公用語)、英語など
宗教:イスラームスンニ派(国教)
隣接:ジブチエチオピア、ケニア

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)