どうしようもない自分の生きづらさとどう付き合うか?

 いろいろなことを考えたが、結局、私はあのときから「かわいくない方の天然」であることを自覚し、そして、なるべくそれがばれないようにして、こそこそと生きている。

 これほどに窮屈に生きなければならない天然があるだろうか? かわいそうだとは思いませんか? もういっそ「天然保護」を受けたいほどである。私が天然であるが故に被っている損は計り知れない。ならば非天然民たちから少しくらい恵んでもらってもいいような気がする。ひどい。ひどすぎる。なんということだ。私はかわいそうだ。

 だから私はいつもヒヤヒヤしている。自分が何かおかしな行動を起こすんじゃないかと、ビクビクしながら生きている。ああかわいそう。私だって「さきちゃんといると癒されるわ~」とか「本当ふわふわした空気まとってるよね!」とか言われたいわ。周りの目を気にしちゃう天然とかもう色々な要素が飽和してめちゃくちゃなことになってるよ。本当いやだ。誰か同情してくださいよまったく。

 天然であることにここまで悩んでいる天然がいるだろうか。これほど苦しんでいるのにどうして私はおかしなことをしでかしてしまうのか。むしろみんなはどうしてそんなにまともな行動をとれるんだ。誰か助けてくれ。どうにかしてくれ。私だって、私だって大事なことに限って忘れるとか、自信満々に反対の電車に乗るとか、レモンを買いに行ったスーパーで「わ~おいしそ~」と目の前のシュークリームに釣られ、帰ってからレモンを買いに行ったことを思い出すとか、そういうことをもうしたくないんだ……。こんな天然ボケでいるのをやめたいんだ!

 あれ? これってもしかして。

 天然に二種類いるんじゃなくて、私がただボケてるというか注意力散漫というか残念な人というか……なだけなんじゃないのか。そうなのか。なんかそういう気がしてきた。……いや、そんなはずはない。私もいつか可愛い方の天然になれる日が来るはずだと、信じてるぞ。マジで。

 まあ、真面目に必死に頑張ってるのに前代未聞のミスしちゃうところとかさ、「わざとじゃないんだ信じてくれ!」と伝えたくても周りに全然伝わらないところとかさ。自分のあまりのダメさ加減がどうしようもなくもどかしくて生きてることすら申し訳なくて、ときどき墓に戻りたくなることもあるけど。しんどいことも短所もコンプレックスも、こうして笑い飛ばしていれば、きっとちょっとは頑張りやすくなるよね。「かわいくない方の天然民」たち、力を合わせて助け合って、なんとかかんとか、息していこう。

あんまりかわいくない方の天然として生まれてしまった悲劇川代紗生(かわしろ・さき)
1992年、東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。
2014年からWEB天狼院書店で書き始めたブログ「川代ノート」が人気を得る。
「福岡天狼院」店長時代にレシピを考案したカフェメニュー「元彼が好きだったバターチキンカレー」がヒットし、天狼院書店の看板メニューに。
メニュー告知用に書いた記事がバズを起こし、2021年2月、テレビ朝日系『激レアさんを連れてきた。』に取り上げられた。
現在はフリーランスライターとしても活動中。
私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)がデビュー作。