北海道と本州を結ぶ貨物列車は、道民の生活と経済を支えるとともに、食糧基地である北海道から全国への安定供給を担い、特に道外への農産品輸送においては鉄道利用が4割を占めるに至っている。この重要な物流機能が、2030年度に計画される北海道新幹線の札幌延伸を受け、存続の危機にさらされている。「青函ルート問題」と総称される同問題は、これまでも鉄道輸送関係者らの間で取り沙汰されてきたが、30年度が迫るなか、現実的なリスクとしての認識が北海道経済界や物流業界全体へ広がりつつある。青函ルート問題とは何か、解決策はあるのか――。 (インタビュアー/大澤瑛美子)
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「共用走行区間」における
新幹線高速化は決定事項
――並行在来線の維持が担保された上での議論となることですが、二つめの課題として挙げられた「共用走行区間」における貨物列車と新幹線の“共存”問題についても教えてください。
北海道新幹線は最高速度時速260キロメートルで計画していますが、先述の通り、貨物列車との「共用走行区間」ではすれ違い時の安全確保の観点から、青函トンネル内で時速160キロメートル、その他在来線区間は時速140キロメートルに速度を落として運行しています。JR北海道では、こうした運行のため所要時間が増加し、「本来であれば北海道新幹線をご利用いただいていると思われるお客様が、他の交通機関をご利用になっている」(JR北海道HPより抜粋)との考えにあり、北海道新幹線の高速化を目指しています。
現在は貨物列車が運休となる正月やゴールデンウィーク、盆休暇期間のみ、1日4往復を時速210キロメートルで高速走行させています。13年の申し合わせを踏まえ、早期の通常時高速走行も可能とすることを前提としながら、30年度の札幌延伸まで、さらなる利便性向上が求められています。