だから、いつ入るのかがとても大切。就寝の2~3時間前に入って、夜ごはんを食べて、寝るのが理想です。体を目覚めさせるために朝入る場合は、深部体温を上げないよう時間を短くするのがコツ。ただ、血圧が高くなる朝は体への負荷が大きいので、シニアは避けたほうがよいでしょう。
基本の入り方は、サウナ→水風呂→休憩のサイクルを、体調に合わせて2~3回繰り返します。
サウナは熱いと思ったら出てOK。周りの人と我慢比べをしたり、時間を気にしたりするのは日本人だけです。ただ、特に女性は、体が温まる前に顔が火照って苦しくなる場合があります。顔まわりは足元より約15度室温が高いので、乾いたタオルで顔を覆うと楽に入れます。
サウナビギナーや温度感覚が鈍くなるシニアは、心拍数を一つの指標にしましょう。階段を上るなど苦しくない程度の運動時の心拍数を測っておいて、それと同じになったらサウナを出てください。
水風呂は、最初は温度調節ができるシャワーで代用して、次は膝までつかる、次は腰まで……などと徐々に慣らすのが安全です。息を止めると血圧が上がるので、吐きながら入るのがポイント。温度に敏感な手のひらや顔を水につけないと、比較的楽に入れます。時間は、20~30秒ほど入れば十分です。深呼吸して喉がスースーしてきたら出ましょう。
一番気持ちいい時間である休憩は、サウナにいた時間より長く、5~10分たっぷりとるのがおすすめ。汗で出ていく水分を補うため、入る前と休憩中に計1リットルの水をこまめに飲みます。
健康のためには、2~3日に一度のペースで無理せずコツコツ通うことが何より大切。超高温のサウナや超低温の水風呂など、体に負担をかけて入っていると、「もっと熱く」「もっと長く」と刺激中毒になります。
たまに、ずっとサウナ室にこもっているガリガリで色黒のシニアがいますが、感覚が麻痺してサウナ依存症になった姿でしょう。過度な刺激により、脳内に“幸せホルモン”の一種のドーパミンが出ると、メラニン色素を作る細胞を刺激する物質も一緒に出て、肌が黒くなることがあるんです。
無理をしてもサウナの効能は上がらないし、むしろ逆効果。持病のある人は主治医に相談したうえで、楽しくマイペースに続けてみてください。
(本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日 2022年9月2日号
※AERA dot.より転載