増加する地方政府の債務
わずか4年で1.8倍に
中国では、地方政府の債務が大幅に増加しており、多くの地域で、債務の規模が警戒ラインに達している。このため、地方での大規模な投資拡大を梃子とした経済成長モデルが持続できなくなりつつある。
中国では、地方政府による積極的な投資拡大が、経済成長をけん引してきた。鉄道、道路、港湾といったインフラ需要が旺盛であり、財政面でも不動産市場の拡大とともに土地使用権収入が増加した。また、債務拡大の余地が十分にあったことが、地方政府による公共投資の拡大を長らく後押ししてきた。
官民連携(PPP)を含むインフラ投資は、2021年に15.4兆元に達した(GDPの13.5%)。地方政府による投資拡大は、都市開発案件や企業の設備投資の呼び水となり、2021年の固定資本形成のGDP比は42.0%にのぼる。
一方で、公共投資の拡大に伴い、地方政府の債務は大きく増加した。財政部によると、地方政府が抱える狭義の債務残高は、2021年末に30.5兆元と、2017年の16.5兆元に比べて1.8倍に膨らんだ(図表1)。対GDP比は2017年の19.8%から2021年末に26.6%へ上昇した。
地方政府が有する債務残高の内訳をみると、一般債残高は13.8兆元、特別債は16.7兆元である。一般債とは、一般公共予算に組み入れられる、収益性のない公共事業の財源となる債券である。特別債とは、収益性のあるプロジェクト等の資金調達を目的に発行され、その収益が債務返済に充当されるべき財源と定義されている。