毎年、夏休みが明けるとともに防災の日がやってくる。地震や災害の多い日本は比較的防災の意識が高い国民性だと思われるが、それでも日頃から万全の備えを行っている人ばかりではないだろう。せわしない毎日の中で、ついつい後回しになりがちな防災に楽しく挑むすべはあるのだろうか。(フリーライター 武藤弘樹)
「十分な対策」を自負する人は少ない
腰が重くなる防災
9月1日は防災の日、および筆者の誕生日であり、42歳となった。42歳を迎えた瞬間は、老朽化してきたウッドデッキから猫が連日脱走するのでその網の補修を、暗闇の中で大きめの懐中電灯を口にくわえながら行っている真っ最中であり、我ながら自分らしい誕生日を迎えられたものだと感じている。
さて、前段で「懐中電灯」と書いたが、懐中電灯といえば災害時に活躍する「防災グッズ」である。災害対策意識、および実情に関する興味深いアンケート結果がある。
マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した調査によると、災害への対策の必要性を感じている人は90.4%、実際に対策を行っているのは51.5%、さらに「十分に対策を行っている」と答えたのが10.7%となった。
実際に行動に移すことへのハードルの高さが、よく表れている。筆者も「やんなきゃなあ、でもなかなかやれないなあ」と思っているクチなので、このアンケート結果を見て同様の人が意外に多いことを知って、ひそかに安堵したのであった。
しかし、重い腰を上げるのが難しい防災も、少し考え方を変えるだけで楽しく前向きに行えるようである。ある人の話をヒントにしながら、それを探る。