東京一極集中は防災上も危険、首都圏の人口過密を解消する「秘策」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

東京への一極集中は、さまざまな点で問題だが、特に災害時のことを考えると策を講じる必要があるだろう。そのために、首都圏に住むメリットを減らしよりデメリットを増やす、というのも一案ではないだろうか。(経済評論家 塚崎公義)

東京一極集中は
防災上の問題も深刻

 新型コロナの影響でリモートワークが増加したものの、東京一極集中が深刻であることには変わりない。東京一極集中は、過密と過疎の問題を深刻化しているわけであるが、筆者が特に気にしているのは防災上の脆弱性である。

 東日本大地震の時、首都圏では膨大な数の「帰宅難民」たちが何時間も歩いて帰宅したが、人流の大渋滞が発生したのみで大惨事に至らなかったのは、建物の倒壊や火災といったことが首都圏でほとんど起きていなかったという「不幸中の幸い」によるものであろう。

 今後発生するとされている首都直下地震や南海トラフ地震の際には、震源が首都圏に近いであろうから、倒壊した建物が道路をふさいだり火災が発生して人流の行く手を阻むことなどが予想される。

 さらに懸念されるのは、避難の際に自家用車を使う人が少なくなさそうだ、ということである。首都圏の道路は、通常の交通量を想定して造られているので、大勢が一斉に避難しようとして道路が大渋滞し、緊急車両が通れなくなるリスクまでは考えられていないだろう。加えて、渋滞している多数の車にはガソリンタンクが載っているわけであるから、そのうち一台が引火したら次々引火する可能性もあるかもしれないのである。

 そうしたことを考えると、さまざまな防災対策が強く求められるが、中でも首都圏に関する最大の防災対策は、首都圏に住む人の数を減らすことであろう。