定期預金なら金融詐欺対策にもなる?

 ここまで触れてきたのは普通預金についてだが、もちろん定期預金もある。

 定期=一定の期間は下ろせない預金のため、そのぶん普通預金より金利が高めに設定されている…というのは建前で、現在の低金利水準では普通預金とほとんど変わらない。金利はともかく、使う期間が決まっていて1円も減らしたくない目的のお金の預け先には悪くない。

 また、お金の防犯、という面でも注目したい。まとまった金額があるのに、全額が普通預金においたままという人は案外多いものだ。しかし、ここ数年、勝手に口座の預金を使われてしまう不正利用事件が起きている。定期預金にしておけばそういう被害に遭いにくい。いったん解約しなければ引き出せないからだ。とはいえ、何年も引き出せないと困るという人には、超短期定期も選択肢になるだろう。満期がわずか1週間、2週間という短期間で、満期時に元利継続を選べば複利効果も期待できる。オリックス銀行(2週間定期、預入50万円以上)、楽天銀行(1週間、2週間定期。預入10万円以上)、新生銀行(2週間定期、預入50万円以上)などが扱っていて、流動性を確保しつつ高めの金利が適用される。自動継続の場合、もし金利が今より上がるとすれば、次の満期からは、上がった金利が適用になるのもメリットだ(むろん以前より下がることもある)。

 資産形成には、商品の組み合わせが大事だ。

 自分の金融資産は全て預金のままでいいとか、投資に回すべきだというのは極端だろう。つみたてNISAやiDeCoなど税制メリットのある制度を使うのはいいが、減らしたくないお金はきちんと預貯金で確保しておく。金融商品にはそれぞれ得意、不得意がある。投資が攻めなら、預金は守りと言える。守りを固めることをおろそかにしてはいけない。

※文中の金利は9月5日現在、税引き前