ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ジンバブエってどんな国?
ジンバブエは、アフリカ南部に位置する内陸国です。ザンビア、モザンビーク、南アフリカ、ボツワナと国境を接しています。
ザンビアとの国境に世界三大瀑布の一つであるヴィクトリア滝があります。落差108m、幅約1700mで、水煙が150mも上がり、虹がよくかかります。
国名は現地のことばで「石の館」を意味していて、それは13~14世紀に繁栄した王国のグレートジンバブエ遺跡にちなんでいます。美しい円すい形の石造建築で知られています。
国土が39.1万㎢とアフリカで日本の面積に最も近く、大部分が高原で、北部は温帯、南部は乾燥帯です。首都ハラレの平均気温は18.1℃です。
かつては、白人農家によって大規模で生産性の高い農業が行われ、「アフリカの穀物庫」と呼ばれるほどの農業国でした。鉱業、製造業とともにバランスよく発展していました。
鉱産資源では世界第3位の産出量を誇るプラチナなどのほか、日本の土鍋に使われるペタライト鉱石が産出されます。
ハイパーインフレを経験
しかし、1992年、白人の農地を接収して黒人農民に分配する法律ができると、ノウハウを持つ白人農家がいなくなり、農業生産が一気に落ち込んでしまいました。
大統領のコンゴ内戦への干渉や強権的な政治手法に対して、欧米諸国が経済制裁を科しました。
干ばつも加わって、食料危機まで起こり、経済は大混乱に陥りました。世界最悪といわれるハイパーインフレで、100兆ジンバブエ・ドル紙幣が発行されました。
ジンバブエ共和国
面積:39.1万㎢ 首都:ハラレ
人口:1483.0万 通貨:ジンバブエ・ドル
言語:英語(公用語)、ショナ語、ンデベレ語
宗教:プロテスタント74.8%、無宗教10.5%
隣接:ザンビア、モザンビーク、南アフリカ、ボツワナ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)