ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「モザンビークってどんな国?」2分で学ぶ国際社会アフリカ南部

モザンビークってどんな国?

 モザンビークはアフリカ南部に位置する国です。インド洋に面し、南北に長い国土を有しています。タンザニア、マラウイザンビア、ジンバブエ、南アフリカ、エスワティニと国境を接しています。

 8世紀からアラブ人が交易に訪れるようになり、国名はアラブ人のスルタンにちなんでいます。

 1498年にヴァスコ・ダ・ガマが到達して以来、ポルトガル人が進出しました。

 フランシスコ・ザビエルは、日本に行く前、この地に6カ月滞在しています。また、宣教師ヴァリニャーノが織田信長に謁見した際にこの地の住民を連れて行きました。信長は肌の色などに驚きながらも、彼を気に入って弥助と呼んで、武士の身分を与え、家臣としました。

 1586年には、天正遣欧使節団が帰路、乗り継ぎ船を待つために6カ月間を過ごしました。

長く続いた独立戦争と内戦、その後の復興

 1960年代から続いた武力闘争の末、1975年に独立を勝ち取りましたが、その後、南アフリカ共和国が介入して内戦となり、1992年まで内戦による混乱が続きました。

 内戦で使われた武器を回収して生活物資と交換するプロジェクト「銃を鍬に」が取り組まれ、日本のNGOも積極的に関わりました。

 南アフリカ共和国からの安い電力の供給を受けて、アルミニウムの精錬が盛んになるなど、「モザンビークの奇跡」と呼ばれるほど、経済が成長しました。それでも貧困率はまだ高いままです。

 海岸線が250kmにも及び、美しいビーチやサンゴ礁に恵まれ、ジンベイザメやマンタと一緒に泳げるところもあり、高級ホテルも建って、観光業が重要な産業になっています。

「モザンビークってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

モザンビーク共和国

面積:79.9万㎢ 首都:マプト

人口:3088.8万 通貨:メティカル

言語:ポルトガル語(公用語)、バンツー系諸語

宗教:カトリック27.2%、イスラーム18.9%、キリスト教シオニスト15.6%、福音派/プロテスタント15.3%
隣接:タンザニア、マラウイザンビア、ジンバブエ、南アフリカ、エスワティニ

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)