日本は常に例外的な国だった。世界的なインフレ高進への対応についても、その点は全く変わらない。西側諸国の中央銀行が金融政策の引き締めを急ぐ中で、日銀だけは異例の金融緩和を堅持する方針を強調し、独自路線を突き進んでいる。黒田東彦日銀総裁は6月、10年物日本国債利回りの上限を0.25%とする長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)政策を維持する考えを改めて強調した。日本と諸外国の国債利回り差(米10年債利回りは3.29%)が拡大することで、円の急落を招いている。年初は1ドル=115円程度だったが、足元では約144円と、1990年代終盤以来のドル高・円安水準をつけている。これは日本にとって懸念すべき問題なのか? 円安はエネルギーを含む輸入価格を押し上げる。その結果、物価上昇圧力が高まり、企業利益を下押しする。しかし、二つの大きな理由から、その影響は対処可能だと思われる。